夢が誘う心の断捨離

この数年間あまり愉快でない夢を見るようになり、特に最近の二年間に頻度が増してきた。夢の中で悔しかった、悲しかったり、腹が立ったりという感情的体験をしてから目覚めると後まで尾を引く。楽しい夢はすぐに忘れてしまうのに対し、不愉快な夢は忘れないという特徴がある。

引き金となっているかもしれない日常生活上の変化としては、そろそろこの世を去る時期に入って来た高齢の家族が毎日一緒の食事の際に思い出話をすることだった。楽しかった思い出も多いが、悲しかったこと、悔しかったことも話す。特に悲しかったことと悔しかった思い出に関しては何回も同じ話が出てくる。それだけ強い思いが残っているのだろう。残念という訳である。
これが自分の人生の思い出につながって来るとやはり不愉快な思い出が忘れられない強い影響力を持っていることが実感される。夢で何回も追体験する辛さや悲しさや悔しさがその日の何十分かを波立たせる。早く気持ちを切り替えるように何かをせっせとする。主にするのが掃除である。ついでに家の中が清潔になり、整頓されるので良い面もあるが、ここでひとつ心の中も掃除をして見ようと思い立った。

まず血圧を測っておく。それから整理するためには書き出すことが必要なので、思いついた順に書き出して行く。
出来事、それを引き起こした人物の名前、感情の種類を書く。順番で自分に与えている影響力の強さが分かる。真っ先に出た人物の名前にともなう感情的反応が一番強い。
何人か、あるいは人物の名前は分からなくとも出来事が三番目以降になるとどんどん感情的反応が弱まってくる。ここでまた血圧を測っておく。
リストを見て以外に少ないのに驚いた。自分の一生を左右してきた感情的反応の傾向を形成した事件が五本の指よりは多いが十本より少ないとは思わなかった。眺めながらじっくりと追体験する。

人物の影響力が強かったのは二人。二人に関係した事件がいくつもあった。これが他者に対し批判的になる原因となっていると思うので、しっかりと追体験しながら記録をする。
その二人が迷惑をかけた人たちがするべき対応をしなかったために処理済みにならない宙ぶらりんの憤りが残っていた。自分が受けた損害は二の次だと分かった。こちらのほうは処理できるからだ。
次に、人物の名前は忘れたが損害を受けた事件の掘り起こしはとても有意義だった。じぶんが不注意あるいは浅慮だったのが原因の大半で、これは今後気をつける他はない。まったく呆れるばかりのバカぶりだった。今もその傾向はあるが、はるかに賢くなってきていることにも気がついて嬉しい。
追体験中に思い出されて加わった事件は系統が似通っているところに書き加えた。忘れていたくらいなので、大した感情的反応は起きないのが分かった。

終わって血圧を測った。書き出す前と書いている最中との差は約15%の上昇率。終わった時との差は18%の下降率だった。始める前よりさらに下がったということになる。
翌日同じくらいの時刻に計ったところ三回目の計測値とほぼ同じ(2%高い)。この文を書き終えた後の計測値は6%高かった。多少興奮しているかも。

既に終わった事件に関してはたいして悔しくも、辛くもなかったのに、感情的しこりは独立してしっかりと私の人間関係に影響を与え続けていたのである。掘り起こして見れば、たいしたことではなかったという訳である。一番あほらしいことは、被害を受けた人たちが気にもしていなかった(と本人たちは言っていた)ことを私が気にしていて、憤りが独り歩きしていたことだった。
一日置いて少し整理をして書き出した事柄。これでファイルを完成し、処理済みの印をつけられれば断捨離完了。

作業の手順

● 事件の書き出し

1 事件の種類と概要。例:中傷、誹謗、裏切り、盗難、詐欺等
2 首謀者
3 受けた被害の内容と直接被害を受けた人物(自分でない場合も多々あった)

● 実際的処理

1 感情的反応の種類。怒り、憤怒、失望、羞恥等
2 それから何か学んだか、または否定的感情を持ち続けているか
3 似た人物や似た事件に嫌悪感や怒りを喚起され続けているか
4 何回も繰り返し後悔(あの時ああしておけば良かった等)、あるいは追体験しているかどうか
5 自分でも同じようなことをしたことは無かったか。あったらそれをした理由(あったし、理由も分かった。反省の材料を頂けた)。分かったことは何らかの理由で嫌いと感じた人には冷たい仕打ちをしたことだった。

以上のことをできるだけ冷静に主観を交えず映画を見るように観察して、感情的反応が静まるまで見届けた。所要時間一時間弱。

これでお終い

心の断捨離 煩悩の種類と自己分析

続・心の断捨離

2018.2.14

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