フロリダに住んでいた時の話です。
フロリダに来る前にブラジルにしばらく住んでいた日本女性と知り合いになり、よく一緒に食事したり、ショッピングや観劇に出かけたりしました。A子さんとしておきます。気が合うのか、おそらく食事とアルコールを楽しむことが出来るのが楽しいのかで友達になりました。飲まない人と違い、長時間食事をしながらおしゃべりが出来るので普段は言えないことも「ついポロリ」と出てしまうものです。ある時、ブラジル時代の体験をその人が打ち明けてくれました。
その人の夫は裕福な商社マンで、派遣先のブラジルで女性と浮気をしてしまったのです。相手は若い美人で、向こうから近づいて誘惑してきたと言い訳したそうです。その女性が「すぐに妊娠して」結婚を迫って来たそうです。もちろん論外なので断った夫は慰謝料を出すと申し出たのですが、聞き分けてもらえないので、困って妻に打ち明けたわけです。
ある夜A子さんは胸の上に何かが乗ってきて、苦しいのに体は麻痺したように身動きもできないような状態になり、声さえ上げられなかったそうです。死ぬのではないかと思ったのですが、何とか夜が明け、そのことを現地の知り合いの友人に相談したところ、浮気等の事情も聞いた後でその人が、おそらく呪いをかけられているのだと教えてくれました。
呪いをかける呪術師は「黒魔術」を使うのですが、これに対して「白魔術師」もいて、呪いを跳ね返してくれるそうです。黒の方より強い人でないと出来ないそうで、値段が高いと言われましたが、もちろん出しますと言って頼んだそうです。その時に、黒魔術師がもし負けたら、跳ね返された悪いものはその人が受けるので、死んでしまうこともよくあると教えられたそうです。
それを聞いた時に私は、黒い呪いのエネルギーは跳ね返された後に消えるのはなく、出たところに戻るということだと思いました。白いエネルギーが分解消去してくれるのではないということを学びました。それがもしかしたら呪術師の使う言葉の力の限界なのかもしれないと後で思うようになりました。光透波理論を学ぶようになってから、「言葉の力には段階がある」ということが理解できるようになったからです。力対力で打ち負かすのであって「吸収して分解し無害化」するわけではないということです。あくまでも「二項対立の世界」における戦いなのでしょう。
さて、日本語には端的なことわざがあります。
人を呪わば、穴二つ
※「穴」は墓の穴を意味し、呪い殺す相手と自分用に墓穴をふたつ用意することを指すそうです。
2024.09.28