見る喜び、美の形

 

桜
桜が散ってしまい急に淋しくなった周囲の景色が他の花々によって新たに埋められてきました。我が家の庭は白い花が多く、それはそれで華やかなものです。こでまり、ジューンベリー、ドウダンそしてシャクナゲと大中小の白い花が次々に開花。それらを見ると胸がときめきます。人は普通美しいものを見ると喜びという感情が湧き起こるようにできています。ただしそのような感情があまりない人たちもいるそうです。

2009年に発表された二つの調査の結果を見てみると次のことが分かったそうです。

まず精神病質者ではないと鑑定された一般の人と犯罪者として投獄されている人の内反社会的人格障害者(注1)と診断された21名の人の脳の違いを調査した結果、脳の前頭葉の二つの部分に関して大きな違いがあることが分かったのだそうです。一つは中前頭回(注2)という場所、そして眼窩前頭回(注3)という場所、どちらも嬉しいとか楽しいとかの豊かな感情を起こさせる場所だそうです。中前頭回の働きを促進するような軽い電気的刺激を与える実験で笑いを引き起こせることが分かっています。反社会的人格障害者において中前頭回が平均18%、眼窩前頭回が平均9%も小さかったそうです。

次に精神病質者27名を普通の人32名と比較した調査でも違いはでたと発表されています。この場合は感情のセンターと呼ばれている大脳偏桃体が平均18%小さかったそうです。
https://m.livescience.com/13083-criminals-brain-neuroscience-ethics.html

豊かな感情は子供の頃にその元が養われるそうです。凶悪犯罪者の多くがそうである社会病質者、精神病質者は憎しみや強い怒りのような感情はあっても喜びや幸福感のような感情の方は枯渇したような人が多いと言うことなのです。美しいものを見て美しいと感じることは当たり前と思うでしょうが、そうではない人たちも大勢いるのです。惨たらしいものを見ると面白がるという感情は美しいものを見ても感動しないということにつながっているかもしれません。また、人工的なものは美しくとも自然の美という完ぺきなバランスをもった形に比べると不完全なものも多々あるかと思います。美に対する感動は美しいものを見れば見るほど養われて行くと思います。そして美しいものを見る喜びの体験が多ければ多いほど偏桃体その他の脳の分野は発達すると思います。

こでまり3 (800x800)

ドウダン

シャクナゲ美のバランスに関しては黄金比というトピックでまたお話しして行きます。

注1.法律といった規範や他者の権利や感情を軽視して、人に対しては不誠実で、欺瞞に満ちた言動を行い、暴力を伴いやすい傾向があるパーソナリティ障害

注2.中前頭回はヒト前頭葉の、上側約 1/3 の領域を占める脳回」笑いが引き起こされる領域 刺激電流のレベルが上がるにつれ、笑いの持続時間や強度が増加した。 例えば、弱い電流は微笑みのみが生み出されるのに対して、強い電流では大笑いが引き起こされた。笑いの起きている間は言語や手の動きなどの全ての活動は停止した。

注3.網膜の裏側にある眼窩前頭野は、脳の前頭前野皮質と皮質下が出会う重要な位置を占めています。そして、情動脳である大脳辺縁系と、知性の脳である前頭前野をつなぐ働きをしています。つまり、情動の源である大脳辺縁系の偏桃体が喚起した情動を制御し、偏桃体からの要求を抑制する働きをするのです。周囲の状況を的確に解釈し、内的及び外的経験に照らし合わせて、意思決定を行なうためには、大切な部位です。この部位の機能が低下すると、共感する力が損なわれます。
多くの精神疾患、あるいは人格障害、発達障害は、前頭前野や帯状回、眼窩前頭野などの機能障害に原因がありますが、この眼窩前頭野の障害では、辺縁系の活動の調整、統合に支障が生じます。すなわち、抑制力の低下が起き、衝動をおさえられないといった、いわゆる強迫性を生じるのです。

バイリンガルって本当にいいの

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